リゾートバイトで社会保険に入るメリット・デメリット、手続きを解説
リゾートバイトを始める際、不安に思うことのひとつに、「健康保険や厚生年金への加入がどうなるのか?」という疑問が挙げられるのではないでしょうか?
今回は、リゾートバイトでの社会保険に関するメリット・デメリットや手続きについて紹介していきたいと思います。
はじめに|社会保険とは?
社会保険は国民の生活を保障するために設けられた日本の公的な保険制度のひとつです。
大きく分けると、以下の5つがあります。
- 健康保険
- 厚生年金
- 雇用保険
- 労災保険
- 介護保険
それぞれ説明していきます。
健康保険(医療保険)
病気やケガ、出産などの際に医療給付や手当金などを支給する保険制度で、「会社で働く人(本人)」と「その家族」の両方に適用されます。
年齢により異なりますが、70歳未満は3割の医療負担となります。
厚生年金
そもそも日本には20歳以上60歳未満の人全てが加入しなければならない「国民年金」という制度があるのですが、国民年金に上乗せして年金を受け取ることができる制度が「厚生年金」です。
就労している間に保険料を支払うことで、65歳以上で老齢年金を貰える他、支給事由に当てはまる場合は障害年金や遺族年金を受け取ることができます。
雇用保険
雇用を安定させるための保険制度で、失業手当や育児休業の給付があります。
労災保険
勤務中や通勤時にケガや病気、死亡となった場合、本人や遺族に保険給付が行われる制度です。
ちなみに労災保険の保険料は事業主が全額払うので、従業員に負担はありません。
介護保険
介護が必要な人のための保証制度で、要介護状態などの条件を満たした人の介護サービス利用料の8~9割を国が負担する制度です。
40歳以上の人には加入義務があり、65歳未満は医療保険に含まれる形、65歳以上は医療保険とは切り離されて年金から天引きされる形で保険料を支払います。
この中でも特に、「健康保険」と「厚生年金」を狭義の意味での社会保険と呼ぶこともあります。
リゾートバイトでは社会保険に加入した方がいい?
結論から言うと、リゾートバイトでも条件を満たしている場合は社会保険への加入義務があります。
社会保険は正社員や派遣社員でないと加入できないと思っている方もいるかもしれません。しかし、パートやアルバイトであっても条件を満たしている場合は社会保険に加入する必要があると法律で決まっています。
ちなみにリゾートバイトの雇用形態は「直接雇用のアルバイト」と「派遣会社を通した派遣社員」の2種類がありますが、いずれの場合でも条件次第では社会保険への加入義務があるのです。
社会保険に加入するメリット
会社が保険料を半分支払ってくれる
社会保険に加入する最大のメリットが、会社が保険料を半分負担してくれるというところ。
国民健康保険の場合、保険料は全額自分で払わなくてはいけません。保険料の負担が軽くなるのはとても助かりますよね。
会社が手続きをしてくれる
社会保険の手続きは会社に書類を提出するだけでもOK!あとは会社にお任せできます。
国保の場合は自分で役所に行き、手続きをしなくてはいけません。平日に役所に行かなくてはいけなかったり、場合によっては長時間待たされたりすることもあるでしょう。
保険料が給料から天引きされる
保険料は給料からの天引きなので振り込みなどの手間もなく、支払い忘れの心配もありません。
手取り額が少なくなるということは一見デメリットにも思えるかもしれません。しかし、貰った給料から保険料を改めて支払うよりも、あらかじめ保険料を引いた額を貰う方がやりくりもしやすいですよね。
老後に貰える年金が増える
日本の年金制度は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てです。
国民年金は日本に住む20歳以上の人全てに加入義務があるので、保険料をきちんと支払っていれば将来年金を貰うことができます。
さらに、社会保険に加入していれば国民年金にプラスして厚生年金も受け取ることができるので、老後に貰える年金の額が増えるというメリットがあるのです。
社会保険に加入するデメリット
毎月の給料から社会保険料が天引きされてしまう
社会保険の保険料は給料天引きなので、毎月の手取り額は減ってしまいます。
しかし、社会保険に加入しておけば医療保険(健康保険)で医療費負担が3割で済むのでいざという時の負担は軽くなります。
そして先述の通り、社会保険であれば保険料を会社が半額負担してくれることで保険料の負担も軽くて済むので、デメリットよりもメリットの方がはるかに大きいと言えるでしょう。
条件に当てはまると加入義務が生じてしまう
加入条件に該当してしまうと社会保険に入らなくてはいけないと法で決まっており、選択の自由はありません。
とはいえ、国民保険に比べて社会保険の方が多くのメリットがあるので、これも実際にはデメリットには感じられないという方がほとんどでしょう。
配偶者家族手当を貰えなくなる可能性がある
家族手当の支給対象を「社会保険の被扶養者」に限定している場合、本人が社会保険に加入することで「社会保険の被扶養者」ではなくなってしまうので配偶者家族手当を貰えなくなってしまうことがあります。
一応、社会保険に加入するデメリットはあるものの、メリットの方が大きいのは一目瞭然ですね。
リゾートバイトで社会保険に加入できる条件
リゾートバイトで社会保険に加入できる条件は「2ヵ月以上の雇用契約であること」。
例えば同じ派遣会社に登録し続けている場合でも、勤務先で働き始めてから働き終わるまでが雇用契約期間となるので、同じリゾートバイト先で2ヶ月以上働く場合であれば社会保険に加入できますし、加入の義務が生じます。
もう少し詳しく説明すると、バイトや派遣社員など、正社員でない場合の社会保険の加入条件は、「1週間の所定労働時間および1か月間の所定労働日数が同様の業務に従事している正社員の4分の3以上であること」です。
そして労働時間や労働日数が4分の3未満でも、下記の条件を全て満たしていれば加入義務が生じます。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 勤務期間が1年以上見込まれる
- 月額賃金8.8万円以上
- 学生以外
- 従業員501人以上の企業
ちなみに従業員500人以下の企業で働く場合でも、1~4の条件を満たしており労働者と使用者(会社)の間で合意が得られれば社会保険の加入対象になります。
なお、上記の条件のうち勤務期間に関してはリゾートバイトの場合は、契約期間が2ヶ月を超えている、または2ヶ月を超える見込みがあれば社会保険の加入対象になるとされています。
リゾートバイトで社会保険に加入する手続き
リゾートバイトで社会保険に加入する場合、手続きは派遣会社で進めていきます。
まずは加入の手続きに必要な資料を準備し、派遣会社に提出しましょう。
必要なものは以下の通りです。
基礎年金番号
年金手帳(青色)の見開き1ページ目に記載されているので確認しましょう。
雇用保険番号
雇用保険被保険者証に記載されている4ケタ-6ケタ-1ケタの番号です。
前に働いていた会社で雇用保険に加入していた場合は発行されていますが、加入暦がなければ新規で手続きをすることになります。分からなければ前の会社に問い合わせるか、前の会社名を伝えればOKです。
住民票に記載されている現在の住所
現在住んでいる住所ではなく、住民票の住所であることに注意しましょう。
マイナンバー(12ケタの個人番号)
手続きには正確な情報が必要になるので、申告の際は間違えないように注意しましょう。
なお、リゾートバイトの登録時に既に伝えている情報があれば、改めて申告する必要はありません。
とはいえ、社会保険の加入については派遣会社の担当者が全て手続きを行ってくれるので、基本的には指示に従っていればOK!難しいことは特にありません。
ただ、国民健康保険に入っている場合には社会保険の加入手続き完了後に必ず脱退しておきましょう。
国保は自動的に脱退されないので、社会保険の資格取得から14日以内に国保の資格喪失の届け出をしなくてはいけないのです。
もし、社会保険の申し込み完了後に資格喪失した国民健康保険で病院を受診してしまうと医療費が戻ってこないので注意してくださいね。
リゾートバイトで社会保険に入る際の注意点
2ヶ月以上の雇用契約を結んだ場合でも社会保険に加入されていない場合がある
2ヶ月以上働く見込みがある場合、実際に2ヶ月勤務し続けていなくても雇用契約をした時点で社会保険へ加入することができます。
しかし、派遣会社にとっては数か月の雇用契約で社会保障に加入するのは手間がかかるということもあり、積極的に提案してくれないことも。
派遣会社によっては実際に2ヶ月以上働かないと社会保険への加入手続きをしてくれなかったり、ひどいところでは2ヶ月が経過しても社会保険への加入提案がされなかったりなんてケースもあるのです。
社会保険へ後から加入することももちろん可能ですが、手続きが面倒な部分もあります。
ですので、契約段階で2ヶ月以上の勤務となっている場合には、自分から社会保険への加入について確認してみるとよいでしょう。
リゾバで社会保険に入り続けたい場合
登録している派遣会社が変わらない場合、元のリゾバ先での勤務終了から新たなリゾバ先での勤務開始までが2週間以内であれば、再び加入手続きをすることなく社会保険に加入し続けることができます。
また、このようなケースに限り次の勤務先の契約期間が2か月未満であっても、社会保険に加入し続けることが可能です。
リゾートバイトを開始して保険証はいつ届く?
健康保険証が手元に届くのは、加入手続きをしてから1ヶ月~1ヶ月半くらいです。
意外に時間がかかってしまうので、2ヶ月程度のリゾートバイトだと期間の半分が過ぎたころになってようやく保険証が手元に届く感じになりますね。
もし、健康保険証が手元に届く前に病院を受診することになったら、医療費全額を一旦支払い、後日還付してもらうという形になります。
医療機関で支払いを済ませた後、必要な添付書類と申請書類を提出することで、2~3割の自己負担分を除いた医療費が戻ってきます。受診の当月中なら病院の窓口で対応してくれることが多いので確認してみると良いでしょう。
まとめ|社会保険に加入する手続きと内容
リゾートバイトで社会保険に入る場合のメリット・デメリットや手続きの方法などについて解説しました。
「バイト」という名前が付いているものの、リゾートバイトでも2ヶ月以上の雇用契約であれば勤務開始からすぐに社会保険への加入が可能ですし、加入の義務があります。
自分が加入条件に当てはまっている!という場合は、損をしないためにも派遣会社に確認してみてくださいね。